税務調査とそのこぼれ話

税務調査とそのこぼれ話【業種編】(50)

今回は、「エステサロン業」です。
世の女性方の美に対する情熱は大変なものがあります。韓国では結婚時期になると、娘に対して親から美容整形さえ進めることも多いと聞きますが、日本ではまだ体にメスを入れることには多少抵抗があるようで、どちらかというとエステサロンに通ってオイルマッサージとかストンマッサージで肌をきれいにとか、特別なトリートメントとかマシンを使って痩身、美白、脱毛をという方が多いようです。また、同時に化粧品だとか香水とかも取りそろえて販売することによって、エステとのエナジー効果を狙っています。
また、最近は男性専門のエステサロンも広がっていて、脱毛、育毛、痩身、美顔を始め健康維持のジムまであります。
通常は2万円から3万円程度の入会金を取り、コースによって様々ですが脱毛で12回コース2万円~3万円、マッサージですと1時間あたり1万円~2万円程度の料金体制のようです。比較的駅近の小綺麗なビルの一角に展開し、自社の製品やサービスの特徴をチラシや雑誌の広告で顧客にアピールし、新規顧客やリピーターを囲い込んで行くというのが基本的な戦略のように見えます。
コマーシャルをいかに効果的に打てるかが勝負のようなところもありますので、フランチャイズ展開をして規模を急激に拡大し、TVやネットで派手に広告を行っているところもあります。
さて、ではこのようなエステサロン業はどのようにして調査するのでしょうか。
まず、売上です。端的には会員数の把握が最重要事項となります。入会申込記録やキャンペーン参加者記録等と入会金との照合です。ただ、入会金は現金で受け取るケースがほとんどなので、それらの記録と現金を同時に隠してしまうなんて大胆な手口も出てくるわけです。もっとも、これらの金額が多額に上るようになりますと、人件費や消耗品の割合が異常な数字になり辻褄が合わなくなります。そして最終的に仮名預金、不動産や株式に化けていた事が判明することもあります。
また、そこまで行かなくても、一度だけ治療に来てくれた顧客のデータを外し、同様に現金を除外して使ってしまえば簡単には分かりません。ただ何度も繰り返して除外していれば、必ずそれに関連する資料は残っているので、件数、金額が多くなると判明する確率も高くなるのです。また、治療した顧客からのクレームや、辞めてしまった従業員からの内部告発等で不正の手口が明らかになるケースも増えています。そのような資料から調査に入るケースさえあります。
次に多いのは従業員数や給与金額の水増しです。また辞めてしまった従業員を雇ったことにしているケースも多く見られます。また、消耗品費等も結構な金額ですのでこれらも水増しするケースや、架空の領収書で経費参入するケースさえあります。
また、機械設備も多額に上りますので、水増ししたり台数を誤魔化したりして、減価償却費を過大に計上することも行われます。

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