税務調査とそのこぼれ話

税務調査とそのこぼれ話【業種編】(49)

今回は、「トランクルーム業」です。
家の中にたくさんのもので溢れかえっている家庭が多く見られます。家電製品、ピアノ、家具、本、子供のおもちゃ等年々荷物が増え、数え上げればきりがないほどです。戸建ての場合には庭に物置を設置して、その中に不要な物をしまっておくとかできますが、マンション暮らしではそれもできず、トランクルームを探すことになります。一方、日本の不況が長引いた事も影響し、東京湾近くにはコンテナ船から荷揚げした荷物を保管する倉庫が数多く存在します。かつては商社や輸入会社の大口輸入資材の保管倉庫として使われてきたものでしたが、最近は、このような一般家庭の小口の荷物を保管するトランクルームとして利用されています。通常は、家庭では邪魔になるスキー板、ゴルフクラブ、車のタイヤ、本等を入れるスペースを、1畳1万円位で貸すことになります。最低1万円から2万円位で貸すケースが多いようです。保証金としては2ヶ月位が相場です。礼金は取らないケースもありますが1ヶ月位が多いようです。六本木あたりでは保証金4ヶ月、礼金2ヶ月なんてケースもあります。勿論価格も4万円からと相当高額になります。システムとしては、通常は無人のシステムを利用することが多いようです。つまり、共通のノンタッチキーで建物に入り、自分の鍵で専用部のドアを開け、手荷物を収納し、その後は逆の方法で出てくるということです。もう一方は有人式で、事前に連絡した後、用意された箱の中に荷物をしまう方法です。銀行の貸金庫のようなシステムです。いずれにしても今はインターネットで簡単に探すことができます。私も無人のシステムを昨年使用しましたが、一度も業者と会うこともなく契約と解約できました。
さて、ではこのようなトランクルーム業はどのようにして調査するのでしょうか。
まず、売上のチェックです。事前に申込書に基づいて契約し振込で入金するケースがほとんどなので、契約書や申込書を完全に保管していれば抜けは無いのですが、申込書、契約書を破棄し現金で集金すれば分かりません。また礼金を無いことにしてしまえば、もらった礼金を除外できます。もっと大胆な手口ですと、レンタル物件一棟ごと除外する方法もあります。いずれにしても入金口座を別にして、足が着かないようにしています。これに対する調査方法としては、申込書や契約書はもとより、事務所に入って来るFAXやメール、電話のメモ等を細かくチェックし、場合によってはトランクルームを借りている人に個別に反面することによって事実関係を明らかにしていきます。物件ごと除外しているような大胆な場面が予想される場合には、営業している地域に近い業者、今までに取引がある業者に反面したり、銀行取引を丹念に追い、保証金の返還金を間違って払っていないかとか解約後のトラブルや保険事故の処理でそのような事実を把握できないかチェックします。
経費面では大きなものはないケースが多いのですが、売上が回収できないで貸倒にした場合に、保証金で相殺しているにもかかわらず、返金したとして貸倒処理しているケースがあるのでこの点をチェックします。

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