税務調査とそのこぼれ話

税務調査とそのこぼれ話【業種編】(46)

今回は、「結婚式場業」です。
6月は結婚シーズンです。土日にもなりますと、街には結婚式に参列する家族連れやパーティ帰りの若い人たちの集団があちこちで見られます。
最近は昔ながらの両家の親族がそろい、職場の上司が参列の上、友人たちも多く集まり場所はホテルで盛大に行うという挙式から、仲人さんを立てない友人同士のパーティ形式(人前結婚)やら、挙式は軽井沢や海外で身内だけで行うやらと非常に多様化しています。また披露宴の演出を映画に主人公になったように非常に凝ったものするとか、人気のあるイタリアンレストランを借り切って行うとか個性的なものが増えています。出席人数も以前に比べますと少子化を反映して少人数になっており、30名から60名程度が多いようです。一人あたりの単価も1.5万円から3万円というのが相場のようで、どちらかというと予算を押さえたものが多いようです。押さえた分だけ新婚旅行や結婚後の家具等に回すカップルが多いようです。
従って、業界的には競争が厳しいようですが、なんと言っても一生に一度のことで、両家の両親が負担するケースも多いことからシーズンの土日は一杯というケースもあります。ある式場では、有名なシェフが料理を担当することを売りにしているとか、ブーケ作成を著名なフラワーデザイナーに依頼するとか、他との差別化をしそれなりに実績を上げているようです。
さて、ではこのような結婚式場業はどのようにして調査するのでしょうか。
まず、挙式の申込と実施のチェックです。また、参加人数や飲み物の数もチェックします。
追加料金が発生している時に現金で決済し、この売上を除外することもあり得るからです。
また、引き出物や料理の特別料理等、通常の料金と違う項目があるケースには特に注目し、仕入れ数量と売上の数量に差異がないかチェックします。高額な引き出物等は仕入れ先に実際に反面し、簿外の仕入れがないかチェックします。仕入れを簿外にするということは売上も除外しているケースがほとんどなので、この点を追及するわけです。
次に、食材やお酒や花等たくさんの材料が仕入れられます。これらの中でリベートをもらえる項目があります。それらが確実に処理されているかどうかチェクします。引き出物やお酒は単価が高いので重点チェック項目となります。
その次に支払いが多い項目は人件費です。アルバイトを中心にたくさんの人件費を使いますので、人数や勤務時間を過大に計上し人件費を膨らませるのはよくある手です。また退職した人間をいつまでもいるように見せかけることも多く見られます。いずれにしても実在性を、電話とか現地で確認します。
その他の経費も経営者の家事関連費(自身や家族等とのためだけに消費した飲食費や賃借料や高級自動車の取得費用等)を中心にチェックします。混じっていれば認定賞与や売上の計上漏れとして処理します。

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