税務調査とそのこぼれ話

税務調査とそのこぼれ話【業種編】(44)

今回は、「酒屋業」です。
第三のビールの酒税アップが迫り、今は駆け込みで需要がかなり伸びているようです。昔から酒税のアップと新製品のいたちごっこはあったのですが、近年は酒造技術の発展もあり発泡酒からのサイクルの早さには感心してしまいます。
また、以前は酒税確保のため販売免許の新規取得には一定の距離が必要であったのですが、今は撤廃され、一定の酒類の販売実績がある人が経営する店舗であれば認可されるようになっています。その意味では新規開業のハードルはかなり低くなっています。
何故免許制だったかといいますと、希望者が多かったということ、もっとはっきり言いますとやはり儲かるからです。実際、コンビニでも酒類の販売を行いますと平均2~3割は売上高が上昇すると言われています。粗利益率も25~30%と悪くありません。また、一般の販売と併設して「立ち飲み屋」をやりますともっと(50%近く)粗利益率が上がります。もっとも今はそのような併設のケースは減っていますが。
最近は焼酎がブームで、特に芋や黒砂糖を原料にするものは数万円もするものさえあり、活況のようです。また中国や台湾など広く海外でも販売されています。以前は瓶容器のみでしかも配達するケースが多く重量物の搬送に問題がありましたが、今は店売りが増えたのと、紙パックなどの軽量容器が増えたので搬送の問題はほぼ無くなりました。むしろ強敵は安売りの量販店と言われています。
さて、ではこのような酒屋業はどのようにして調査するのでしょうか。
まず、売上のチェックです。仕入れたものは必ず販売されるか、在庫になっているか、自家消費されているかです。一部破損もありますがしれています。ですから、仕入さえきちんと把握していれば商品の売上高は推定計算できます。あまりにも差が生じた場合は、売上が除外されていると考えるのが常識です。また仕入と売上の両方抜くいわゆるスライド除外も良く行われる方法です。また、商品券の販売も地域によっては多額に上りますので、その仕入と販売のチェックが欠かせません。
次に仕入と在庫のチェックです。常に大量の在庫を抱える場合には、仕入れ先に保管するものとか流通上の在庫を抜くケースがあります。また、一定量の取引高以上や早期の支払い、あるいは新製品の取り扱いについてはバックリベートがあり、この一部や全部を除外することもよくあります。
また、複数の店舗を経営していて、それが他府県にまたがる場合にはある店舗の名義人を別にして申告したり、大胆にも一店舗分抜いていたりすることがあります。
後、給料については、アルバイトに人数を水増ししたり、退職した人を引き続き雇ったことにして給料を支払いプールした資金を個人的に使ったり、働いてもいない家族を働いたことにして給料を支払ったりと色々問題があるケースがあります。
その他の経費にしても個人的な家事関連費が混入することが多く見られます。

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