税務調査とそのこぼれ話

税務調査とそのこぼれ話【業種編】(42)

今回は、「デイトレーダー業」です。
株式相場が年初来高値を超え、町の本屋さんには株や為替の本が並んでいます。ライブドア事件の影響はあるようですが、世界的な金余り、上場企業の業績好調、個人投資家が活発に取引できる環境整備等もあり、今後とも順調に推移すると言われています。
そんな中で、デイトレーダーと言われる個人投資家が存在します。デイトレードとは、株取引等において1日で手仕舞いして損益を確定させる超短期の投資手法を言います。一般的なイメージは、一日中パソコンの前に座って、インターネット経由で売買を繰り返すのが“仕事”という感じです。昨年の東証株価指数は1年で40%以上も上昇したため、かなり好調な業績を残せたのではないでしょうか。今年になってから、ある証券会社の誤発注で何億円も儲けた人もデイトレーダーでした。それを可能にした要因の一つがネット証券会社で、安い手数料、高速の通信回線、プロ並みの分析ソフトを売り物にしています。一般投資家も簡単に開設でき、複数のネット証券を使い分けるのが常識化しています。また。携帯電話からも注文ができるようになっており、環境はここ数年格段に進歩しています。
例えば、300万円の資金で月10%の利回りがあれば30万円稼げるわけで、1000万円では100万円ということになります。手数料が安いので、数%利が乗っても十分稼げるようです。ただ、短期売買に徹していますのでそれなりのノウハウと機敏な判断力が要求されるわけです。
さて、ではこのようなデイトレーダー業はどのようにして調査するのでしょうか。
まず、取引は全てPC上で行われますので、PC上のデータもしくはネット証券のデータから売買益の確認が行われます。家族名義、友人名義でも行っている可能性がありますので、決済入金口座の確認はもとより、扱っているすべてのPCのチェック、メールのやりとり(PCの扱いには慣れていますので、情報の交換もメールが中心になります。)をチェックします。余談ですがライブドアの不正もメールサーバーのデータから判明しています。全てのデータをHDやPCに吸い上げてチェックすることになります。今は、中国株や欧米の株式も売買できます。これらは外貨の決済になるので、海外の預金口座に資金を移動させることも考えられます。メール等でこれらのチェックも行います。
堀江もんが海外でスイス系の銀行に株の売却資金を貯めていたのが典型例ですね。
逆に経費としては、直接には証券会社への手数料ぐらいで、後、間接費も通信費やPC購入費、トレードをしている部屋の賃料、光熱費位でしょう。これらに家事関連費が混入していないかチェックします。いずれにしても、かなりの金額が利益と認定されると思いますます。
ただ、現在の税制では、事業所得や雑所得に該当する場合であっても、税額計算上は、他の所得と区別して、分離課税としての税率を適用して行うこととなっていますので、平成18年分であれば、何億円稼ごうとも税金は国・地方合わせて10%で済むことになります。

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