税務調査とそのこぼれ話

税務調査とそのこぼれ話【業種編】(35)

今回は、「ゴルフ場業」です。
最近の宮里 藍、横峯さくら等女子プロの活躍により、ゴルフ場が少し元気になった感じです。勿論以前のような押すな押すな状態ではありませんが、若い層を中心に確実に増加傾向にあります。単価的には平日で1万円を切るコースもあり、土曜、日曜でも2万円前後が中心価格のようです。バブル崩壊後は極めて閑散な状態が続いていましたが、キャディなしでカートで回るがリーズナブル料金体系の外資系ゴルフ場が増え、手軽にラウンドできる環境が少しずつ整っていました。また、景気も一時の悲惨な状態から少しずつ回復し、サラリーマンのボーナスも前年比較で増加する状態まで回復してきました。そんな状態の所へ新鮮なスターが誕生したものですから、若年層や女性を中心にゴルフ場は活況を取り戻しつつあります。また、ゴルフ場に併設しているゴルフ用具のショップやゴルフ練習場も需要が伸びています。また、その販売方法も、スイングを細かくチェックし体つきに応じたクラブの販売、アシスタントプロのアドバイスやスイングをビデオカメラで撮影分析するサービスを売り物にする等、きめ細かなものに変わってきています。また、ラウンド後の食事も道路交通法上の飲酒運転が非常に厳しくなった関係上、サンドイッチのような軽食とノンアルコールで済ませるケースが多くなったようです。つまり価格がリーズナブルになった以上、サービスもそれに合わせるように変化してきていると認識できます。 
勿論、従前からの名門コースと呼ばれるゴルフ場は、それなりの価格でフルラインのサービスを行っています。
さて、ではこのようなゴルフ場業はどのようにして調査するのでしょうか。
まず、売上に関してですが、以前のようなメンバー中心の商売ではなく、多くのビジターを受け入れていますので、前日までの予約表とコンピュータ上の顧客データのチェックから入ります。顧客データは、その人のラウンドや食事や飲み物等を一元管理しているのが通常ですから、一定のデータだけが抜かれることのないようチェックするわけです。急な飛び込み客やメンバーだけのコンペで現金決済のものがあれば除外するケースもあるでしょうし、一定時間以後のデータを削除し逃れるケースも想定できますので、この辺のチェックを行います。また、コンペ後の食事等は別に決済するケースが多いので、この一部を除外することも多く使われる不正手口です。お土産売り場の売上やゴルフ用品の販売もそんなに多額ではないですが、現金決済ですと除外することは簡単に出来ますので、仕入金額との比較や現金管理状況のチェックで不正点がないか探します。
次ぎに経費面ではやはり人件費が大きいウェイトを占めますので、源泉税も含め架空人件費、過大計上をチェックします。キャディを始めアルバイトの人が多いので、離職した後も何ヶ月にもわたって在籍したことにし(架空人件費ですが)その金額を仮名預金にするケースもあります。この場合には、辞めた人に個人別に面接し、事実関係を確認します。
修繕費も多いため、請求書を水増しし、後でキックバックという手段も多く見られます。

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石川税務会計事務所

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