税務調査とそのこぼれ話

税務調査とそのこぼれ話【業種編】(33)

今回は、「化粧品小売業」です。
化粧品の販売は、主に女性をターゲットにデパートからドラッグストアまで広く扱っています。また、最近ではインターネット販売やTVでのネットショッピング、またはカタログ販売等あらゆる広告媒体で取り上げられています。具体的な製品も、ヒアルロン酸、プラセンタ、コエンザイム等保湿性、美白に良いとされる様々な成分を豊富に含んでいる旨を強調し、他との差別化を図っているものは好調のようです。また、売れ筋の価格帯は、1.5万円以上の高額商品と2~3千円の普及商品というように両極に分かれており、高額商品はデパート、カタログ販売、美容外科とのタイアップ販売窓口であり、普及品はドラッグストアという流れです。ですから、最初はデパートや高級カタログ販売からスタート、もちろん価格も高額な状態で販売しますが、徐々に鮮度が落ちてくると販売ルートも単価も落としながらスケールメリットで稼ぐというストーリーになります。
原価的には1.5万円の化粧品でもせいぜい1,500円から2,000円程度という状態で、10%というのが業界の常識のようです。S社でも一番原価で高いのは瓶代ということのようです。では何にお金を掛けているのかと言いますとコマーシャル代ということです。
また、非常に商品の競争が激しいので、ライフサイクルが短いのも特長でしょう。
さて、ではこのような化粧品小売業はどのようにして調査するのでしょうか。
まず、売上ですがデパートにしても、カタログ販売店にしても契約に基づく振込決済ですので、不正の入り込む余地はあまりありません。ただ、余り売れなくて返品になった商品を現金で処分するケースは除外するケースがあります。
一方、仕入に関しては、大量に買い付けた場合の値引きやリベート、サンプル品として無償で何百個かもらうケース等があり、これを簿外の預金口座に入れたり、サンプル品は別途販売して現金で回収という手口で簿外にするということがあります。
また、費用で一番大きいのは広告宣伝費なのでこれを使って不正行為を行うケースが後を絶ちません。具体的には、広告宣伝費の単価を水増しするとか、一回だけの宣伝なのに数回行ったことにするとかの手口で、実費額との差額を別勘定か現金でバックするなどです。
また、窓口の広告代理店も一定の金額を超えるとリベート等のキックバックがあり、これらも除外するケースが目立ちます。
後は、これらの商品は、ビューティフェアーや健康フェアー等でデビューするケースが多く、この時に販売したものを除外することもあります。全くの一見客が買っていくこともあるからです。ただ、その後取引が多くなる相手先は外すでしょうが。
一度火がついた商品は爆発的に売れるため、在庫管理が追いつかなくなり、期末在庫で過小に申告するケースがあります。また、いろんな代理店に預け在庫が溜まりこれらが反映されないケースも見受けられます。
いずれにしても世の女性方(最近は男性用の化粧品も増えているようなので女性だけではないようですが)の美に対する欲求は凄まじいようですね。

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石川税務会計事務所

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