税務調査とそのこぼれ話

税務調査とそのこぼれ話【業種編】(29)

今回は、「英会話スクール業」です。
英会話ができる人がもてはやされたのは今や昔の話となりました。外資系企業の進出や業務のグローバル化に伴い、社内の文書や連絡、外部との交渉は英語が当たり前という企業が増えてきました。英文のビジネスメールが飛び交うのも珍しくありません。ネット上で英語の情報を検索することも重要な情報源となりました。このため、英会話スクールでも英文メールの書き方に始まり、英語での交渉の仕方や複雑な報告書の作成、販売戦略とテクニック、従業員の評価などをカリキュラムに加えています。
読む力、聞く力に加え、単語や文法のレベルを測定するTOEICの影響力が強まっており、TOEICを受験する受験者数はこの7年間で2倍になり、03年度は140万人を突破。そのうち74万人は企業などで実施されています。企業が利用する目的別では、技能系社員の昇格時に受験を義務付けたり(高度な英語を要求する企業では、990万点中600点を昇格の要件にする例が多いようです)、海外派遣予定者のレベルチェックに使ったり、採用時にもスコアに注目する企業さえ現れています。
このため、駅前を中心に多くの英会話スクールが開設され、時間も早朝の7時から23時くらいまでOK、土日祝日もOPENとフレキシブルになってきました。料金は入会金が3万円、受講料が7,000円~10,000円/1セット(1セットは40分)が中心です。
教育訓練給付制度を利用すれば受講料の最大40%、最高20万円まで戻ってきます。
さて、ではこのような英会話スクール業はどのようにして調査するのでしょうか。
まず、受講者数の把握に努めます。名簿、領収書、入学金、コンピュータのメモ、メールでの問い合わせ等あらゆる情報をチェックし計上漏れが無いかどうか確認して行きます。特に伸びているスクールでは、支店一店舗ごと売上も経費も抜いてしまうという大胆なやり方をするところがありますので、注意が必要になります。また、入会金だけとか、テスト代だけを抜くという(いわゆるつまみ申告と言われる)やり方も多く見られる方法です。
次ぎに多いのが講師の人件費の水増しです。特に退職してしまった職員を在職しているように見せかけ、引き続き給料を支払い続けそれを裏金にするやり方は多く見られます。またアルバイトは短期で辞めてしまうため、人数を水増ししたり、時間単価を過大に計上したりする手口もよくある手口です。いずれにしても反面調査でまめに潰していくか、貯まった金の流れから解明していきます。
更に、人件費の多い業種ですから、源泉税の漏れが多くなりがちなのでこの点からも攻めていきます。
経費面では広告宣伝費やテキスト代を過剰に計上し、リベートとして裏口座にバックさせる方法が多く見られますので、この点の確認も良くやります。新規出店でも、内装費等を過大に計上し同様にバックということが多いので細かく検討します。

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