税務調査とそのこぼれ話

税務調査とそのこぼれ話【業種編】(23)

今回は、「中古車販売業」です。
現在新車の販売は、世界最初のハイブリッド車やミニバン等個性的な車が多く発売されるため好調のです。また、新車を今までの車から買い換えるため、下取車(中古車)の流通も増加しています。更に、このように大量に流通する車を効率良く捌くための条件も整ってきています。例えば、各地には多くのオークション会場が新設され、客観的な価格で取り引きされるようになりました。その落札にはコンピュータ管理された効率的な競売システムを採用しているため、落札に必要な時間も1分程度と非常にスピーディになってきています。従って、中古販売業者もこれらのオークション会場を利用して、中古車を仕入れ、販売するケースが増えてきており、比較的順調な業況で推移しています。
この業界の特徴としては、かなりの資金力が必要であるということです。具体的に例を挙げて説明しますと、今車1台50万円で仕入れできるとします。商売として成り立つためには20台程度は最低必要でしょう。そして仕入決済は現金ですから、この資金1,000万円は自前で保有していなくてはなりません。また、「こうゆう車を買ってください。」という購入の注文も入るケースがありますが、このケースも購入金額全額を前もって客から預かるというケースは希で、その場合にも資金が必要になります。
また、中古車は古物に当たるので、古物商の許可を取り古物台帳を備え付けなければなりません。質屋さんなんかと同じ許可です。
さて、ではこのような中古車販売業はどのようにして調査するのでしょうか。
まず、売上、仕入、棚卸は比較的簡単にチェックすることができます。なぜなら、全取引が古物台帳に記載されており、一品毎に仕入と売上をチェックし、現在売れ残って棚卸になっている車を除けば間違いは比較的簡単に分かります。古物台帳に掲載されない取引があればどうでしょう?この場合は分かりません。しかし、古物台帳は警察が盗難車等のチェックのために時々見に来ます。万一、記載漏れが判明すれば許可の取り消しになり、何年もの実績の上に築いた商売が無になります。従って、全く載せないというケースはまれです。あるとすれば、金額を差し替えるケースです。つまり、50万円で買って100万円で売ったものを、60万円で買って80万円で売ったことにするのです。古物台帳には金額までは記載する必要がないからです。在庫については、車を同業者に預けておきながら、台帳上は廃棄として処理しているケースもあります。
次ぎに、板金とかの修理売上や保険収入、自動販売機の売上等の付随収入は除外しているケースが多く見られます。
経費面については、あまり多くの経費を必要としないためごまかしも少なく、実際には支払いがないにもかかわらず、情報をくれた人に謝礼として金品を払っているとか(支払っている場合は接待交際費となり限度額以上は損金算入できません)、アルバイト代と称して子供に小遣いを渡しているとか限定的なケースが多いようです。

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