税務調査とそのこぼれ話

税務調査とそのこぼれ話【業種編】(22)

今回は、「コンビニ業」です。
現在でこそ日本全国何処にでもあるようになり、またそのために同業者間の競争が激しくなっていますが、日本の小売業の勢力図を変えたとまで言われたのがこのコンビニ業です。
セブンイレブンとかローソンとかの有力ブランド店では、ほとんどの場合はフランチャイズ制を取っており、直営店はごくわずかです。そこで話をフランチャイズ店に絞りますが、店を展開できる条件は、人通りや、車の通行が多い地点の土地(30坪程度の1階店舗、駐車場を確保できること)と、深夜まで営業(場合によっては24時間営業)できる人材の確保です。資金的には土地建物が自己所有であれば、陳列棚から冷凍庫、販売商品までフランチャイズ本部が融資してくれます。また、仕入品目の指示や陳列の指導等も個別に行い、損益の予想や実績の報告等も毎月実施します。そのノウハウ料として、売上総利益の35%~40%をチャージされます。もっと端的に言いますと、経営と資金回収はフランチャイズ本部が行い、その利益の35~40%は天引きされた上で、従業員の給料や管理費を賄うことになるということです。率的にはかなり厳しい条件ですが、ブランド名や売れ筋商品を取り扱えるので売上高が相当見込める点は有利な点です。ですから、土地や建物を所有しているが、小売業のノウハウは余りなく手っ取り早く儲けたい人、また若い人を確保しやすい条件の人が参入しているようです。
さて、ではこのようなコンビニ業はどのようにして調査するのでしょうか。
まず、売上は100%現金ですが、独自のレジシステムがあり従業員がごまかすことはまず無理です。コンビニをターゲットにする強盗が多いこともあってレジを建物の基礎に埋め込んであり、1万円以上のお札はレジ内部にそれ以外とは別に収納され、マスターキーでしか取り出せないようになっています。そして1日分の売上は翌日銀行の口座に入金するようになっています。また売上のデータはPOSシステムでそのまま本部に送信され、入金のデータと照合されます。仕入は本部から来ますのでその金額は把握していますし、売上の種類事のデータも把握できますので、在庫も瞬時に分かります。従って、現場の担当者や経営者本人が、売上のレジを打たずに商品を持ち出す以外はほぼ脱漏は無理と思われます。本部側でもこの点は厳しくチェックしていますので、監査が有効な状況ですね。
ただ、一定の売上達成とかに応じて各種のリベートがありますが、その内支払いはされずに積立金として積み立てるものがあります。契約解除時の商品代金と相殺するためのものですが、これが何のことか分からずに売上から漏れることがあります。
また、経費については本部側のコントロール外になりますので、従業員の給料水増しとか架空人件費、家事関連費の混入、個人使用の外車の購入費を会社保有車両に計上とか不正が発生することになります。ただ、利益が上がっていなければこのようなこともできないわけで、本部で徴収する35~40%の天引きを考えるますと、人通りの絶えない駅前や繁華街、行楽客の多い道路沿いとか売上のかなり上がる立地が決め手のようです。

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