税務調査とそのこぼれ話

税務調査とそのこぼれ話【業種編】(21)

今回は、「駐車場業」です。
前回に続いての車関係です。バブル時のような1時間当たり1,600円や2,000円といった単価はなくなりましたが、地価がこの10年で4分の1位まで下落した関係で1コイン(500円)駐車場が各地で増えています。景気が少し良くなる兆しはありますが、まだ以前不透明でデフレの要因が残るこの時期には、このようなほとんど設備投資を必要とせず、確実に現金で回収できる商売が盛況なのも納得できます。
地主としてもそのまま放置するより手軽に現金収入を得ることができ、自分が利用しようと思えば一定期間経過後は簡単に原状回復できます。また、かなり狭い土地でも有効利用できますから気楽に始められるのです。
さて、ではこのような駐車場業はどのようにして調査するのでしょうか。
まず、売上は時間単位で発生し、かつ現金で回収ですので、これが確実に銀行等に預金されているかどうか、また全額売上に計上されているか確認します。
やはり土曜、日曜の売上が多いことから、月曜日に臨場し、どのようにして現金を回収し、また預金をしているのかを確認します。事前に内偵調査を実施して一定時間の利用客を把握し、これに時間数と単価を掛けて予想売上高を推定することもあります。また、レジペーパーが出る形式の機械が多いので、保存されているペーパーと現金の状況を精査します。
ほとんど土地を借り上げるケースが多いので、売上の駐車収入に対して支払い地代が発生します。従って売上を除外するというよりは、売上と支払い地代をどちらも除外する両建て除外がほとんどです。会社の看板が上がっていれば直ぐ分かるようなものですが、名前を変えてみたり架空の個人名でやっているようなケースもあります。
いずれにしても最後は預金や資産に化け、またそれらを自宅に隠したり本名の預金に振り替えたり(単純には振り替えないケースがほとんどですが)する時に判明します。
次ぎに経費についてですが、支払い地代、機械のリース料か減価償却費、電気代、保険料、修繕費、資金回収やクレーム処理のための人件費等が考えられます。この中で多いのは機械のリース料の水増しや減価償却資産の取得費の水増しです。例えば実際は200万円で購入した機械を300万円(ほとんど値引きをしないとか、設置費、運搬費を増やするとかです。)に増額させ、差額の100万円は裏の口座に振り込ませるといった手口です。また、修繕費の水増しや架空計上、人件費も家族等にアルバイト代と称して小遣いを払っているケースもよくあります。
この業種は、空き地がそこそこあり、ある程度都心であればそれなりに儲かります。しかも回収が全て現金であることから足が付きにくく、売上金を除外して次の駐車場の開店資金とするケースも多く見られます。そして一定規模に達すれば寝ていてもお金が入ってくるわけです。土地をいかに仕入れるかがポイントとなりますが、今の不況が後押ししているのかもしれません。

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