税務調査とそのこぼれ話

税務調査とそのこぼれ話【業種編】(20)

今回は、「カーウォッシュ業」です。
景気の方は、株の上昇と共に最近少しは良くなったというもののまだ実感としてはほど遠いものがありますが、堅調に売上を伸ばしている業種もあります。それは車の販売業です。
この関連業種として洗車やワックスがけを自分で行う「カーウォッシュ業」があります。少し郊外に行けば、土曜、日曜日に自分の車を洗車機で洗い、丁寧にワックスがけをしている家族達を良く見かけますが、これが「カーウォッシュ業」です。高圧の専用機で汚れを落とし、30分や1時間いくらで使用料を支払います。機械のみで人は誰もいません。利用する人は排水を気にしなくて良いし、専用機を使うのでかなりきれいになる点や最近は軽食や車用品も売っている利便性でリピーターが多いようです。また開業する人は、車が入る土地さえあれば誰でも気軽に参入できる事が受けているようです。
さて、ではこのようなカーウォッシュ業はどのようにして調査するのでしょうか。
まず、売上は時間単位で発生し、かつ現金で回収ですので、これが確実に銀行等に預金されているかどうか、また全額売上に計上されているか確認します。現実的には土曜、日曜の売上が多いことから、月曜の朝現場に臨場し、誰がどのようにして現金を回収するのか確認します。事前に内偵調査を実施して一定時間の利用客を把握し、これに時間数と単価を掛けて予想売上高を推定することもあります。また売上の予想は、機械の使用時間数とか水道使用数量からも判断できます。
この予想売上高と現実の収入にかなりの差異があれば、売上の除外が予想されますので、事業所の現況調査や銀行調査で除外の証拠を探します。内偵調査の副産物としては、観察していたときに現金の回収が行われ、その結果簿外預金のあるの銀行に行き着くこともあります。犬も歩けば棒に当たるといってところです。
次ぎに経費ですが、経費自体はそれほど多くなく電気代、水道代等は水増ししようがないため、最も多いのは機械の取得原価を水増しする方法です。中古機械を入れているが新品に見せかける。途中で壊れたとして中古品に入れ替えているが、壊れたこと自体がうそだったり、修理と称して以上に高い修理費を計上するといった所です。
多数の場所で事業を行っている場合には、集金業務として架空人件費(アルバイト代)を計上するケースとか、数カ所の売上を除外するとか、人の名義で申告するとかの大胆な手口もあります。
この業種は、立地さえよければ単価が安くても回転率が高く結構儲かります。しかも回収が全て現金であることから足が付きにくく、売上金を除外して次の店を開業するケースが多く見られます。そして一定規模に達すれば巨額の金を手にするわけです。土地は農地で良いわけで、これらを借りられる人ならそれほど難しい商売ではありません。ただ、新規参入も激しく、早く気付いてやったもの勝ち的なところもあります。そこで最近は、コンビニ的なショップを併設したり、カー用品等の自販機等を置いていたりします。

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