税務調査とそのこぼれ話

税務調査とそのこぼれ話【業種編】(15)

今回は、「電気器具販売業・・町の電気屋さん」です。
電気器具販売業は、秋葉原電気街に代表されるように日本では比較的元気な業界で、どの町にも見られる業種です。他の業種が余り元気がないのに比べ、パソコン、液晶テレビ、プラズマテレビ、デジカメ、ビデオカメラ等ヒット商品も多く、盛況と思われます。ただ、松下、SONY、日立、東芝、三菱等有力メーカー間の競争も激しいのが特徴です。
ではこのような「電気器具販売業」はどのように調査をするのでしょうか。まず、一番特徴的なのは、各メーカーから色々なリベートが入ってくるという点です。従って、販売による粗利益は例えば10%位と低水準でも、各種のリベートで潤っていればトータルとしてOKということになるわけです。リベートの内容に入りますが、まず販売数量の規模によってキックバックするものがあります。経理的には「仕入割戻」として処理されるものです。例えば1,000個までの仕入では1%、1,001個から2,000個までは1.5%とかいうものです。次ぎに、特定の商品(例えば新商品)の販売に関して、時期、数量によって5%位をキックバックするものです。これは時期、時期により様々に変わるものです。例えば、パソコンであったり、液晶テレビであったりします。状況的には、各メーカーの戦略商品、あるいは他社に比べて弱い商品であることが多いようです。場合によっては驚くほどのレートのこともあります。経理的には「売上または雑収入」でしょうか。また、資金回収が期日よりも早い場合に支給されるリベートがあります。経理的には「仕入割引」として処理されるものです。更に、加盟金という名前で積立金(万一倒産したときに充当する担保金)を各メーカーで積み立てることがあります。また、これらに利息を付けることがほとんどです。
これらは、ほとんどは仕入金額から控除する形式で処理されますが、一部は小切手で渡されたり、振込であったり、場合によっては現金のこともあります。また、各メーカーによって様式が違い、場合によっては非常に分かり難いため(特に積立金、その利息)計上漏れになるものがあります。
特に、現金分や振込分については隠してしまい、各メーカーからの資料も破棄して脱税する傾向があります。さすがに小切手は売上計上しないことはあまりありませんが、単発(1回だけの取引のこと)の場合にはそうでもありません。従って、このような取引を各メーカー毎に詰めていくことになります。非常に根気のいる調査となります。また、店舗を複数持っているケースで、1店舗ごと抜いてしますという大胆な案件もありました。
更に、展示会と称して1日限りの展示販売会を開催することがあります。在庫処分的なものですが、現金決済で地方で行うケースが多くこの売上は除外しやすい傾向にあります。
次ぎに、棚卸商品はかなりの金額に上るケースが多く、特に預け在庫(倉庫とか他店で販売委託するケース)は抜けやすく(抜きやすくといった方が正確かもしれませんが)ここで利益調整をすることが多いのです。

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