税務調査とそのこぼれ話

税務調査とそのこぼれ話【業種編】(13)

今回は、「青果業」です。
いわゆる「やおや屋」さんです。この業種も前回の魚屋さんと同様現金商売に入り、調査は難しいとされています。なぜなら売上の証拠となるものが、店売りの場合はレジペーパーくらいしかないからです。そこでやはり仕入からチェックすることと、B/S面から詰めていくことが基本となります。
つまり、まず売上の現金管理をチェックし、レジペーパーにおかしな形跡はないか(日付が飛んでいないか、紙が不自然に切れていないか、意図的に合計額が間違っていないか等)を精査します。その後は銀行調査において簿外預金を把握すべく資金面の調査を厳しく行います。
また、店頭において、売っている品物がどこから入ってきて、その決済はどうしているかを入念にチェックします。その日に並んでいた品物の仕入先が簿外の仕入先で、そのような仕入先の場合は仕入伝票がないこともあるからです。また、隠している簿外の店がある場合には、そこに持っていくはずの商品をたまたま間違えて並べてしまうこともあります。更に、松茸などを料亭等に現金で簿外販売しているケースなどで、商品を倉庫にしまっていることもあります。
このため、調査は店の始まる時間に(品物を並べて直後に)開始します。
具体的に言いますと、次のようです。今、店頭に色々野菜や果物が並んでいます。その中で特に高額な果物があったとしましょう。その仕入先はどこかチェックします。そしてもし仕入のリストに載っていなければ、簿外の仕入先があることになります。このようなケースはほぼ粗利益率を一定にするため、レジを打たないか、打ってもお客さんに渡すペーパーのみの印字にとどめています。更にレジさえなく籠に現金が入っているだけのケースさえあります。従って、時間を変えて、もしくは事前の内偵調査でこのような状況が無いかチェックします。
また、逆に仕入には上がっていても、陳列している品物に見あたらないケースがあります。このようなケースは、料亭等の大得意先や個人的に頼まれた人物に販売していることが多いものです。更に魚よりも保存が利くので、倉庫で簿外の仕入先を把握することもあります。 近年、農薬を使わない自然商品が好評で、大都市近郊の露地物が注目を集めています。このような農家とタイアップしている業者は売上が好調ですので、当局もこのような業者の調査はもとより、生産側の農家自体の調査も大規模に実施しています。実際は、まず農家への調査を局の資料調査課主導で実施し、取引内容を資料化します。その後、これらの資料に基づき個別の業者に調査に入るという手法を良く取ります。
今年も冷夏とその後の残暑で農作物の生育状況は最悪のようですから、このような露地物の需要は大きく、同様の手法が繰り返されることが予想されます。

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