税務調査とそのこぼれ話

税務調査とそのこぼれ話【業種編】(7)

今回は、「マルチネットワーク業」です。
古くはアムウェの時代から、今は各種のビタミン剤、指圧器のN社等までマルチネットワークによるコミッション業は、ずっと続くというものは少ないのですが一時期急激に売上を伸ばし、盛況を極めるケースが多いようです。
これらに共通することは、一時期急速に売上を伸ばし、特定の地位にいる(通常はトップに位置する人)人がかなりの収入を(場合によっては数億円)手にすることです。実際に国税の調査が入るのは、そのピークを過ぎてからなので、その時は利益を使ってしまっていて納税資金に困るケースも多々あります。
さて、このような業種はどのように調査するのでしょうか。
結論として、商材の販売数を把握し、その数量によるコミッション収入が適正に計上されているかの確認が主流になります。ただ、非常に複雑な計算をコンピューターを使って行なわれているケースもあり、預金調査を中心にした銀行調査で仮名預金や借名預金を解明しなければならないこともままあります。
また、人的つながりが中心の口コミ商売の要素が強いため、非常に打合せが多く喫茶店は勿論、ホテル、レストラン、飲み屋さん等、普通は接待交際費に使う場所での費用が多く計上されています。従って全て費用かというと曖昧な部分も多く、この点を否認されるケースも多く見られます。
更に、これらの人は他の商材にも共同で事業展開しているケースが多く、どこまでが商売で、どこまでがプライベートかが分かりにくい点が見受けられます。
つまり、趣味的要素が強く、疎明資料が曖昧だと事業性自体を疑われ、最悪全額経費否認になるケースもあります。
経費面では、家計部分の家事関連費が混入し同様に経費否認になるケース、また自宅の改装、装飾品(貴金属、高級時計等)、高級自動車(事業にほとんど使ってないケースに限られます)などを事業関連なしとして否認されるケースが多く見られます。
いずれにしましても、本業を強力にサポートする、車で言えば「ターボエンジン」みたいなもので、これ自体では自立して機能しずらいものですが、今日のように物が売れにくい時代には強力な存在感がある業種でしょう。

一覧に戻る

ページトップへ

石川税務会計事務所

〒102-0084 東京都千代田区二番町5-2 麹町駅プラザ803
TEL: 03-5211-1541
FAX: 03-5211-0777
info@ishikawa-taxoffice.com