税務調査とそのこぼれ話

国税の組織とそのこぼれ話(9)

今日は、税務調査についてお話しします。今年も税務調査の本番の季節となりました。
今も2件の調査立会(税務署、国税局の調査に、税務の専門家である税理士が立会し、納税者の立場を擁護する行為)が入っていますが、今までの業種(医者、建設業といった職種)ごとの狙い打ちから、個別に利益が出ている企業を重点的に調査している感じです。
それはさておき、そもそも税務調査はいつからいつまでに、どのような調査を、どのようにして選定し、どのぐらいの頻度で、また終了まで何日くらいかかるのかご存じでしょうか。その辺を今日はお話ししましょう。
さて、期間としては、税務の人事異動が7/10位に行われますので、7/11から翌年の7/10までがワンフレーズになります。ただ、移動前後の事務引継、夏休み等が入りますので、実質は8/15のお盆明けから翌年の6/30までです。その期間中、月に4~5件のペースで、次にお話しする一般事後調査を重点に行います。ただ、所得税(個人課税部門)においては、2/16~3/15までは確定申告期間中ですので、特調(特別調査といい、大口納税者を重点的に調査する)以外の調査はこの期間中原則として行いません。
その中で、お盆明け、特に9月初めから取り掛かる調査は要注意です。7/10の移動後満を持しての登場だからです。そして徐々にその緊急度は低下してきます。6月の移動直前の月では、新規に一般事後調査に着手することは極めて希です。
次に、調査にはどのような種類があるかと言いますと、一般的には一般事後調査、短期事後調査、簡易調査に区別できます。一般事後調査は1件当たり4~5日で仕上げる標準的な調査です。その内訳は、準備調査に0.5日、臨場調査に1~2日、反面調査に1日、銀行調査に1日、起案に0.5日といったところです。臨場調査とは納税者宅あるいは事業所(お店のこと)を訪問し、原始記録、帳簿、預金通帳、棚卸状況等に誤りがないかチェックする調査です。反面調査は取引先に出向き、裏取引、共謀がないかチェックする調査です。短期事後調査はもっと短く1件当たり2日、簡易調査は0.5日位で終了します。
ただ、短期事後調査、簡易調査から一般事後調査に振り替える(逆にいうとそんなに簡単に終わらない。)ケースもあります。
また、大口納税者を対象とした特調(ベテラン職員が2人以上の組で調査するケース・・正式には特別調査という)もあります。特調は10日以上を掛けます。
更に、国税局の調査部、資料調査課等の調査は年中行われており、あまり上記のような性格付けは出来ません。ただ、担当署との打ち合わせに1日を要するため火曜日に着手が多いようです。
次に、どのようにして調査先を選定するかですが、これは千差万別です。端的に言って担当者の感に頼るところもありますが、投書、仮名取引や別口取引等の重要資料、土地や建物の取得資料、簿外とみられる遠隔地取引資料等、あらゆるところからそのような資料が集まってきてそれが調査着手の決め手になることも度々あります。
さて、その頻度ですが、大体3年ごとに行われることが多いようです。ただ、急速に売上が伸びている企業、取引形態が複雑で早急な解明が必要なケースは1年でも調査に入ることがあり、原則が崩れつつあります。
以上のような点を十分理解され、今後の対策策定にご留意下さい。

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石川税務会計事務所

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