税務調査とそのこぼれ話

国税の組織とそのこぼれ話(6)

・当局との付き合い方について
国税当局との付き合い方についは、最初は一応何を聞いているのか、また何に疑問を持っているのか「聴く」という態度でいることが大切です。ただ、後で指摘しますが、自分で良く吟味し、おかしいと思った点は専門家も含め「確認する」という態度が肝要です。
例えば、あなたが確定申告で医療費の還付申告をしたケースで、「医療費の内容についてお聞きしたいことがありますので○○日に税務署までお越し下さい」とハガキが税務署から来たとします。この時の納税者の方々の反応は、大きく2つに分かれるように思います。一つは、「大変なことになった。どうしよう。どうしよう。」として、ただうろうろするケース。もう一つは、「私は、間違ったことはしていない。」として無視するケースです。これはどちらも正しくありません。国税当局の質問には答える必要がありますので、無視するのがまずいと言うことはお分かりになると思いますが、ただおろおろするだけでは問題は解決しません。そこで、当日が忙しいという事情であれば、電話をして「○○日は忙しいので、○○日に変更して欲しい。」旨を申し出れば良いのです。そしてその際に、「どのような点について話があるのですか。」として質問すれば良いのです。「医療費の中で交通費が多額ですが、どなたがどこに行かれたものですか。」とか何らかの話が出るでしょう。今後はそれらの点を詰めていけば良いのです。肝心なことは、税務署というものを特に意識せず「平常心」で対応することです。自信の無い方は、税理士等の専門家に相談すればよいでしょう。税務調査等のケースでも基本的な対応は皆同じです。
ただ、前回指摘しましたように、税務署レベルでは職員層の若年化と女性職員の増加により、やや「重箱の隅」的な指摘も多く、中には誤った指導もあるようです。そこで、「おかしい」と感じた項目については、より専門家の意見を聞くようにすべきです。
特に、担当者の話がおかしいと思われるときは、国税局の審理担当に確認する方がベターです。東京国税局のケースですと、課税一部の所得税課の中に審理係がありますし、同じく課税二部の法人税課の中にも審理係があります。また、一般的なことでしたら各税務署の税務相談室とか、タックスアンサー(今はWWW上のサイトで見られます。)を利用されてもいいでしょう。
今お話ししたことは、事後的な対応方法ですが、実はもっと良い方法があります。それは問題となりそうな時点で事前に対応するという方法です。問題かどうか分からなくても、今まで経験したことがなければ、一応問題ありとして当局に相談するという方法がベターです。
具体的には、所轄(本店、住所の場所によって決まります。)の税務署に行って、具体的に問題はないかどうか聞いておくとやり方です。その時に、いつ、誰と、どのような話をしたのか等、その日の打合せの記録を詳細に残しておくということが肝心です。このような記録があればそれで全て安全ということにはなりませんが、少なくとも当局の担当者と税務署の中で具体的な話をしているわけで、当局も無理な課税はしにくいわけです。

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石川税務会計事務所

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