税務調査とそのこぼれ話

国税の組織とそのこぼれ話(4)

・国税職員最大の関心事について
今日は国税職員最大の関心事についてお話します。それは、ポスト(地位)です。
もっと具体的に言いますと、署長とか総務課長とかを指します。ただ、国税局と税務署ではやや呼び方が異なることがありますし、税務署の中でも大きさとか格によって多少差があります。
なぜ国税職員の最大の関心事がポストかと言いますと、それは、国税職員が国家公務員であり、解雇等の身分上の保護を受け、逆に給料面ではそれほどの差がつかないからです。例えば、10億円の脱税を見つけたからといって1億円のボーナスが出るわけでもありませんし、同期生の場合では1割の差もないでしょう。
従って、ポスト、勤務場所、勤務の系統(所得税か法人税か徴収か等)に関心が向き、その中でも指揮命令権を発揮できるポストに最大の関心が集まるわけです。
具体的なポストの体系を、税務署のケースを例にとって説明しましょう。通常は、上から順番に、署長→副署長(特別調査官、特別徴収官)→総務課長→第一統括官→統括官(特別調査官、特別徴収官)→総務課長補佐(総括上席)→総務係長(上席)→調査官→事務官というのが、一般的な流れです。特別調査官、特別徴収官が、副署長と統括官の両方に出てくるのは、副署長待遇の厚紙(あつがみと読む)特別調査官と統括官待遇の薄紙(うすがみと読む)特別調査官がいるからです。
誤解を恐れずにずばりと言いますと、特別調査官、特別徴収官、統括官というポストは、えらい人(年齢の高い人)が多くなってしまったために無理やり作ったポストです。以前は、副署長であり、課長(法人税課長、所得税課長)という呼び名でした。局のポストは比較的そのころの単純さを残しています。
さて、国税職員は最終的には署長を目指すのですが、下からのハードルを指摘しますと、まず調査官をクリアすることが第一の目標となります。前回、国税専門官(大卒)と普通科(高卒)の話をしましたが、国税専門官で4年間、普通科では9年間位で調査官になります。
年齢でいうと27、28歳です。そろそろ結婚もという時です。次は上席です。民間では係長のポストです。調査官昇任後、4年位で早い人は上席に昇進します。最も難関は次の総務課長補佐(総括上席)のポストです。なぜなら各署の各事務系統(総務、法人税、所得税のこと)で一つしかないポストだからです。早い人は上席昇進後4年位で昇進します。36歳位です。そして2年の激務の後、統括官(局では主査と呼ばれます)に昇進します。
その後も総務課長、副署長、特別調査官、署長と試練は続くのですが、重要なポストの昇進時には頑張るというのが人の常です。また、頑張れるという人がそのようなポストに就いています。前回の採用年次と併せて判断いただきたいと思います。

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