税務調査とそのこぼれ話

国税の組織とそのこぼれ話(3)

・国税職員の採用年次について
国税職員の採用年次について今日はお話しいたします。
国税の組織(上から、国税庁、国税局、税務署ですが)は、大蔵省(現財務省)の出先機関であり、その職員の採用形態も私の年代では(現在55歳です)上級甲種(今のⅠ種試験)、上級乙種(同Ⅱ種試験)、国税専門官試験、初級(同Ⅲ種試験)に分かれていました。上級甲種採用者は、いわゆる「キャリア組」と呼ばれ、大蔵省(現財務省)本省採用であり、5~6年の本省勤務後27~8歳で、税務署長として赴任し、いずれ事務次官を目指してエリート教育を受ける人々です。
次に上級乙種採用者は、主に国税庁、国税局の基幹職員として採用された人々です。また、国税専門官試験採用者(私もそうですが)は、昭和46年から採用された試験制度で、主に国税調査官、国税査察官等の育成を主目的にしています。
更に、初級試験採用者は、高校卒業の職員を対象にしており、上記の国税専門官試験開始以前は、国税局、税務署の職員はほとんど彼らで占められていました。現在、税務署レベルでは、国税専門官採用者(略して国税○○期、専科○○期という)と初級採用者(略して普通科○○期という)の比率が拮抗してきています。
私自身は、昭和51年に大学の専攻科(1年制の大学院と思って頂ければ良いですが)の卒業であり、専科6期生となります。ちなみに同年齢の普通科生の期は、普通科の32期生となります。専科の1期生の採用年次を逆算しますと、それは昭和46年であり、普通科1期生は、同様に計算しますと、昭和20年であることが分かります。
私は現在55歳ですが、1年大学院に行っていましたので、1歳引いて54歳が同期生の年齢になります。つまり54歳の国税職員は、主として、専科6期生と、普通科32期生ということになります。
何故このようなことを長々と述べてきたかと申しますと、国税(他の公務員もほぼ同じだと思いますが)の風土は、きわめて年功序列が強い組織だという特長があるからです。誤解を恐れずに言えば軍隊的とも思えます。ですから逆に、年齢によって就くべきポストが決まっており、それとミスマッチがあれば、個人的に何らかの問題があることが分かるわけです。
もっと分かり易く言うと、「○○期→○○歳→○○のポストに就いている→就いていない人は何らかの問題があったと想像できる」と言うことです。
以上の推論の具体的な使い方ですが、例えば税務署からあなたに調査の申し入れがありました。調査担当者に会って話をしていると、普通科の○○期生と分かりました。彼の期別から判断して、最も早く今のポストに就いていることが分かりました。そうしたらこれは「要注意」です。彼は意欲満々で、非常に活動的で、次々と間違いを指摘し、多くの非違事項(追加で税金を納めることとなる間違い項目)を見つけ出す可能性が高いからです。
通常、国税職員は自分から「私は○○歳です。」なんてことは言いません。ただ「○○期ですか?」と言われると、思わず「○○期」と話すことは多いと思います。
私などはOBと言うこともあり、必ず「私は専科6期ですが、あなたは?」と聞きます。相手も少し安心したように、例えば「私は普通科30期です。」とか答えてくれます。
皆さん方も、「私の友人の方は専科6期ですが、あなたは?」と言う聞き方もあるでしょう。
この一言によって少し場が和み、又、相手の年齢、国税職員の最も関心のあるポストについての判断材料が分かれば、よりベターな対策が立てられるのです。

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